悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
「怖がることはない。なにがあろうと、俺がオリビアを守る。それに、人に優しくすることは最大の防御でもある。敵を作らない方法を君に教えてあげるよ」
武器を手にするのではなく、人に優しくして敵を作らないことが大切なのだと、彼は諭していた。
それは両親からは教わらなかったことで、ハッと目の覚めるような思いがしていた。
確かに敵がいなければ、武器はいらないわ。
レオン様の教えに従えば、他の貴族を押しのける必要はないし、蹴落とされることもないのかしら……。
彼の胸にあてていた顔を上げ、「はい。教えてください」と真剣に返事をする。
「わたくしも、レオン様のような優しい目で、世の中を見てみたいのです。お願いします」
至近距離にある麗しい顔が嬉しそうに頬を綻ばせ、それから急に口の端をつり上げ、彼らしくない意地悪な笑い方をした。
「やはり君は素直ないい子だよ。俺の方がずっと腹黒い」
レオン様を腹黒いとするならば、私や父はなんと表現したらいいのか。極悪人か悪魔になってしまいそうだ。
「そんなことはーー」と彼の言葉を否定しようとしたが、途中で遮られた。
突然、彼が顔を寄せ、私たちの唇が触れ合ったのだ。
軽く押しあてられた唇はすぐに離れて、今は拳ふたつ分の距離で、ニコリと弧を描いている。
武器を手にするのではなく、人に優しくして敵を作らないことが大切なのだと、彼は諭していた。
それは両親からは教わらなかったことで、ハッと目の覚めるような思いがしていた。
確かに敵がいなければ、武器はいらないわ。
レオン様の教えに従えば、他の貴族を押しのける必要はないし、蹴落とされることもないのかしら……。
彼の胸にあてていた顔を上げ、「はい。教えてください」と真剣に返事をする。
「わたくしも、レオン様のような優しい目で、世の中を見てみたいのです。お願いします」
至近距離にある麗しい顔が嬉しそうに頬を綻ばせ、それから急に口の端をつり上げ、彼らしくない意地悪な笑い方をした。
「やはり君は素直ないい子だよ。俺の方がずっと腹黒い」
レオン様を腹黒いとするならば、私や父はなんと表現したらいいのか。極悪人か悪魔になってしまいそうだ。
「そんなことはーー」と彼の言葉を否定しようとしたが、途中で遮られた。
突然、彼が顔を寄せ、私たちの唇が触れ合ったのだ。
軽く押しあてられた唇はすぐに離れて、今は拳ふたつ分の距離で、ニコリと弧を描いている。