悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
「オリビア、眉間に皺が寄って小鼻がピクピク震えてるよ。俺を楽しませようと、わざとおかしな顔をしているなら合格だけど、違うよね?」


おかしな顔だと言われてしまい、私は頬を熱くして両手で顔を覆う。

恥ずかしいわ……。

レオン様に王室のしきたりや儀式などが記された分厚い本を貸してもらい、自主的に王太子妃になる勉強を始めているけれど、それよりも自然な笑顔を作る方が難しく感じられる。


すると彼が私に触れた。
手を外されて、顎をすくわれる。

青い瞳が艶めいて、「笑ってごめん。努力するオリビアが可愛くて、つい……」と言いながら、傾けた顔を近づけてきた。

期待に胸を高鳴らせ、そっと目を閉じた私だったが……突然響いたノックの音に邪魔されて、キスを受けることはできなかった。


「どうぞ」というレオン様の返事の後に入ってきたのは、近侍のグラハムさんだ。

私に愛想のよい笑みを向けて会釈してくれた彼は、「お楽しみのところ申し訳ございませんが、お時間です」とお茶の時間の終了を知らせた。


柱時計を見れば、時刻は十七時半。

ここに呼ばれてからもう一時間経ったのかと驚き、残念に思っていた。
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