悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
私の頬はたちまち火照り、心にピンクのバラが咲き乱れる。

ああ……こんなにも幸せで、いいのかしら。

愛されていることを感じるたびに、私の心はどんどん恋の深みにはまっていく。

もう、なにがあっても、後戻りできないわ……。


弾むような気持ちでレオン様に送られて、南棟の三階まで戻ってきた。

自分の部屋には戻らずに、このまま王妃のもとへ行くつもりでいる。

この時間はきっと王族の居間でくつろいでいると思うので、自室の前を素通りした。


すると、廊下の角を曲がる手前で、こっちに向かってきた王妃と鉢合わせ、足を止める。

バッカス夫人を後ろに従える王妃は、レオン様と並ぶ私を目にして即座に顔をしかめ、不快感を隠すことなくあらわにしていた。


「オリビア。レオンのお茶に呼ばれたがった上に、部屋まで送らせるとはどういうことなの? まったく、ずうずうしい娘だわ」


王妃からの嫌味や叱責は日常的であっても、最近はそれが強くなったように感じる。

それはきっと私がレオン様に近づくのを、よしとしないためであろう。

けれども王妃の文句を聞き流すことに慣れている私なので、堪えることはない。

いつもの通り心のこもらない謝罪をしようとしたのだが、私より先にレオン様が口を開いた。
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