悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
そういえば鉢合わせた直後から、王妃は私を睨むばかりで、彼をチラリとも見ようとしなかった。

そのことに引っかかりを感じたが、「とにかく断固反対します!」と王妃が語気を強めたので、意識は自分の結婚問題へと戻された。


「あなたの思い通りにはいきませんよ。国王陛下にも、認めないよう言っておきますから」


国王は最高権力者であっても気弱で頼りない性分であるため、結婚当初から王妃の言いなりだと聞いている。

政務を動かしているのはレオン様で、国王は趣味に明け暮れているとはいっても、今の時点で立場が上なのはもちろん国王だ。

王妃に言いくるめられ、国王が私を認めてくれなかったら……。

一気に不安が膨らむ中で、レオン様の頼もしい声を聞いた。


「なんと言われましても、俺はオリビアを諦めるつもりはありません。父上を説得する自信もあります。母上にもご理解いただける日が必ず来ると信じて、待っています」


力強いその言葉に希望の光を見た私だが、「そのような日は来ないわよ」と吐き捨てるように言った王妃が、レオン様の横をすり抜けて、こっちに向かって歩き出したので、私は慌ててドアを閉めた。

大きく息を吐き出してから、ベッドまで行き、縁に腰を下ろしてアマーリアを膝にのせる。


「ねぇ、どうしたらいいかしら……?」

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