悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
王妃が喚こうが邪魔しようが、レオン様は私の上からどこうとせず、行為を続ける。

寝間着を強く引っ張られたために、ボタンが外れて彼の上半身は肩と胸や背中の半分が裸にされてしまった。

「キャッ」と叫んで両手で顔を覆う私と、「おやめなさいと言っているでしょう!」と金切り声をあげる王妃。

レオン様だけは落ち着き払った声で、淡々と母親に言い返す。


「母上が今すぐ退室されるなら、俺はオリビアを傷つけずにすむでしょう。なぜなら、愛し合う姿をあなたに見せるのが目的で、このような行為に及んでいるのですから」


「どうしますか?」と挑戦的な視線を母親に向ける彼を、私は包帯を巻いた両手の指の隙間から見ている。

やっとわかったわ。レオン様は王妃殿下を出ていかせるために、こうしているのね……。


彼の目論見通りに、「出ていくわよ!」と怒鳴った王妃だが、私を排除することは忘れていないようで、ギクリとする言葉を付け足される。


「その代わり、オリビアの侍女契約は打ち切りですからね。もう城には置きません。明日には荷物をまとめて出てお行きなさい」


それは困るわ……と私は動揺する。

私を妃にというレオン様の言葉を信じているつもりでも、曖昧な関係のままで距離が離れることには不安がある。

正式な婚姻の発表がなされていたなら、こんな心配はしなかったのだろうけれど、私が花嫁候補の頂点から転落する可能性はないとはいえないのだ。

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