悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
椅子に座ったままで、やっと眠りが訪れたのは空が白んでからのこと。
燃え尽きた薪が暖炉の中で崩れ、その後でハッと目を覚ましたら、カーテンの向こうははっきりと明るくなっていた。
柱時計を見れば時刻は八時に近い。
寝過ごしたことに慌て、メイドを呼ばずにひとりで身支度を整えると大急ぎで部屋を出る。
私はまだ王妃の侍女だ。
私を解雇すればレオン様が自分のそばに置くようなことを言ったため、王妃は嫌々ながらも雇い続けることに決めたみたい。
私の侍女としての仕事は、王妃の朝のお召し替えの手伝いから始まるというのに、その時間はとっくに過ぎている。
廊下を小走りに王妃の寝室へ向かったら、そこにはいないことがすぐにわかった。
ふたつ隣の王族の居間のドアから、誰かと口論している王妃の金切り声が漏れているのだ。
そのドア前でオロオロしているのは、春が来たらアリンガム王国に輿入れする予定のルアンナ王女で、私に気づくと焦った顔をして駆け寄ってきた。
「オリビア、この部屋に入ってはいけないわ。今は自分の部屋にいてちょうだい」
「なにかありましたの?」
「お母様が勝手なことをなさるから、お兄様が激怒して……」
燃え尽きた薪が暖炉の中で崩れ、その後でハッと目を覚ましたら、カーテンの向こうははっきりと明るくなっていた。
柱時計を見れば時刻は八時に近い。
寝過ごしたことに慌て、メイドを呼ばずにひとりで身支度を整えると大急ぎで部屋を出る。
私はまだ王妃の侍女だ。
私を解雇すればレオン様が自分のそばに置くようなことを言ったため、王妃は嫌々ながらも雇い続けることに決めたみたい。
私の侍女としての仕事は、王妃の朝のお召し替えの手伝いから始まるというのに、その時間はとっくに過ぎている。
廊下を小走りに王妃の寝室へ向かったら、そこにはいないことがすぐにわかった。
ふたつ隣の王族の居間のドアから、誰かと口論している王妃の金切り声が漏れているのだ。
そのドア前でオロオロしているのは、春が来たらアリンガム王国に輿入れする予定のルアンナ王女で、私に気づくと焦った顔をして駆け寄ってきた。
「オリビア、この部屋に入ってはいけないわ。今は自分の部屋にいてちょうだい」
「なにかありましたの?」
「お母様が勝手なことをなさるから、お兄様が激怒して……」