悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
眉を下げてすまなそうな顔を見せてから、ルアンナ王女は足早に母親の後を追う。
小さなため息をもらして、その背を見送っていたら、私の右隣にレオン様が並んだ。
彼の骨折した右腕は順調に回復しており、もう添え木も包帯も必要ない。
けれども負担をかけてはいけないと城医に言われているので、ペンを持つのも利き手ではない左手を使っているという。
自然な動きで私の肩に左腕を回しかけ、抱き寄せてくれる彼に、廊下を行き交う使用人たちは視線を逸らして見ないようにしてくれた。
「朝から嫌なところを見せてすまない」と疲労の濃い声で謝られ、私は首を横に振って彼と視線を合わせた。
「謝るのはわたくしです。わたくしが王妃殿下に気に入られるような振る舞いをしていたなら、こんなにも反対されずにすんだのでしょうから……」
この城に住まうようになった最初の頃は、仕方ないという気持ちで侍女勤めをしていた。
その気持ちがきっと、態度の端々に出てしまっていたのだろう。
よく思われなくて当然なのだ。
身から出た錆だと反省し、「申し訳ございません」とレオン様に謝罪したら、今度は彼がそれに異を唱える。
「そうじゃない。母上が嫌っているのは、君ではなく俺なんだよ。俺のやることなすこと、全てが気に入らないのだろう。その気持ちを俺にぶつけては生活に支障があるから、代わりに君にぶつけているんだ」
小さなため息をもらして、その背を見送っていたら、私の右隣にレオン様が並んだ。
彼の骨折した右腕は順調に回復しており、もう添え木も包帯も必要ない。
けれども負担をかけてはいけないと城医に言われているので、ペンを持つのも利き手ではない左手を使っているという。
自然な動きで私の肩に左腕を回しかけ、抱き寄せてくれる彼に、廊下を行き交う使用人たちは視線を逸らして見ないようにしてくれた。
「朝から嫌なところを見せてすまない」と疲労の濃い声で謝られ、私は首を横に振って彼と視線を合わせた。
「謝るのはわたくしです。わたくしが王妃殿下に気に入られるような振る舞いをしていたなら、こんなにも反対されずにすんだのでしょうから……」
この城に住まうようになった最初の頃は、仕方ないという気持ちで侍女勤めをしていた。
その気持ちがきっと、態度の端々に出てしまっていたのだろう。
よく思われなくて当然なのだ。
身から出た錆だと反省し、「申し訳ございません」とレオン様に謝罪したら、今度は彼がそれに異を唱える。
「そうじゃない。母上が嫌っているのは、君ではなく俺なんだよ。俺のやることなすこと、全てが気に入らないのだろう。その気持ちを俺にぶつけては生活に支障があるから、代わりに君にぶつけているんだ」