悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
レオン様が持っていたのは王家の紋章である双頭の鷲が彫り込まれていたが、この鍵の鷲は一羽のみ。
全く同じ物ではないけれど、重要な鍵ではないかと思われた。
どこの扉の鍵かしら?と考えれば、胸の中にはワクワクと黒い期待が湧いてくる。
その扉の先に王妃の秘密が隠されている気がして胸が高鳴り、口元には薄っすらと腹黒い笑みが浮かぶ。
逸る気持ちを抑えきれない私は、キャビネットの引き出しを閉め忘れたまま、鍵だけを握りしめて衣装部屋から飛び出した。
急ぎ足でどこへ向かったのかというと、西棟の二階にあるレオン様の執務室だ。
三度のノックに「どうぞ」と彼の声がしたが、入ってきた私を見て、彼は目を瞬かせている。
感情を顔に出すことが不得手な私が、いきいきと目を輝かせていることに戸惑っているのか、それとも彼の仕事場を私から訪ねることはないと思い込んでいたから驚いているのかもしれない。
落ち着いた調度類の配された執務室には、私たちふたりきり。
部屋の中央に置かれた大きな執務机に向かい、左手で羽根ペンを握る彼に、私はドア前から興奮気味に問いかけた。
「レオン様、そちらへ近づいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わないけど……どうしたの?」
全く同じ物ではないけれど、重要な鍵ではないかと思われた。
どこの扉の鍵かしら?と考えれば、胸の中にはワクワクと黒い期待が湧いてくる。
その扉の先に王妃の秘密が隠されている気がして胸が高鳴り、口元には薄っすらと腹黒い笑みが浮かぶ。
逸る気持ちを抑えきれない私は、キャビネットの引き出しを閉め忘れたまま、鍵だけを握りしめて衣装部屋から飛び出した。
急ぎ足でどこへ向かったのかというと、西棟の二階にあるレオン様の執務室だ。
三度のノックに「どうぞ」と彼の声がしたが、入ってきた私を見て、彼は目を瞬かせている。
感情を顔に出すことが不得手な私が、いきいきと目を輝かせていることに戸惑っているのか、それとも彼の仕事場を私から訪ねることはないと思い込んでいたから驚いているのかもしれない。
落ち着いた調度類の配された執務室には、私たちふたりきり。
部屋の中央に置かれた大きな執務机に向かい、左手で羽根ペンを握る彼に、私はドア前から興奮気味に問いかけた。
「レオン様、そちらへ近づいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わないけど……どうしたの?」