悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
嬉しそうに、そして敬愛の念を込めたような瞳に見つめられたレオナルドは、つい「よくわかったね」と答えてしまう。

こんなに大掛かりな仕掛けを用意してはいなかったのだが、オリビアの期待を裏切りたくないと思ったためだ。


(せっかく勘違いをしてくれたのだから、少しばかり気取らせてもらおうか。君の目に映るこれからの俺は、いつでも揺るぎない強者の姿でありたいんだ……)


群衆の視線のほとんどが、白鳩に向けられていた。

この国の行く末を思わせるような平和の象徴が、青空に大きな円を描く中で、レオナルドは愛しき妻を抱き寄せる。

目を瞬かせているオリビアに、「この命を懸けて君と平和を守る」と誓い、「愛してるよ」と囁いて、薄紅色の唇にそっと口付けた。


【完】

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