悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
オルドリッジ公爵とは私の父で、このカルディンブルク王国において、王家の次の名家といってもよい有力者だ。
公爵令嬢ほどの身分の高い娘は、普通なら侍女として誰かに仕えることはなく、仕えさせる側にいる。
そんな私が例外的に王妃の侍女となった理由は、行儀見習いと社会性を身につけるため、ということになっている。表向きは。
しかして真の狙いは、父にある命令を下されたことにあった。
ひと月ほど前の実家で、父は私を執務室に呼び寄せてこう言った。
『オリビア、十七歳のお前はそろそろ結婚相手を探す必要がある。二十四歳の王太子もいい加減に伴侶を決めねばならない年頃だ。そこでだ。お前を城に仕えさせることに決めた。王太子に気に入られ、妃となれ』
父はしたたかな策略家だ。
十分すぎるほどの権力を有するというのに、私を使ってさらなる威光を得たいのだろう。
父に逆らうことはできず、こうして王城の大邸宅に住まうようになったけれど、私としては王太子妃になってもならなくても、どちらでもいいと思っている。
いつかは誰かと政略結婚しなければならないが、将来の夫が誰であっても、私の退屈な毎日はきっと変わらない。
そう思うので、自分の結婚相手に興味を持つことができなかった。
公爵令嬢ほどの身分の高い娘は、普通なら侍女として誰かに仕えることはなく、仕えさせる側にいる。
そんな私が例外的に王妃の侍女となった理由は、行儀見習いと社会性を身につけるため、ということになっている。表向きは。
しかして真の狙いは、父にある命令を下されたことにあった。
ひと月ほど前の実家で、父は私を執務室に呼び寄せてこう言った。
『オリビア、十七歳のお前はそろそろ結婚相手を探す必要がある。二十四歳の王太子もいい加減に伴侶を決めねばならない年頃だ。そこでだ。お前を城に仕えさせることに決めた。王太子に気に入られ、妃となれ』
父はしたたかな策略家だ。
十分すぎるほどの権力を有するというのに、私を使ってさらなる威光を得たいのだろう。
父に逆らうことはできず、こうして王城の大邸宅に住まうようになったけれど、私としては王太子妃になってもならなくても、どちらでもいいと思っている。
いつかは誰かと政略結婚しなければならないが、将来の夫が誰であっても、私の退屈な毎日はきっと変わらない。
そう思うので、自分の結婚相手に興味を持つことができなかった。