悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
「殿下、私はもう大丈夫ですので、そろそろお休みになられた方が……」
彼の睡眠時間を心配するふりをして退室を促せば、「そうだね。後の君の看病はメイドに任せよう」と立ち上がってくれたのでホッとした。
「ルアンナが謝りに来たとき、君は許してくれるよね?」
確認のようなその問いに、私は一拍の間を置いてから「はい」と答えた。
許そうと思う。きっちりと仕返しをしてからの話ではあるけれど。
仕返しを口にすれば、彼はきっと私の考え方を変えさせるべく椅子に座り直すと思われるので、それは黙っていた。
薄暗い部屋の中、私の本心を探ろうとするように青い瞳がじっと見下ろしているが、私は目を逸らさずにその無言の間に耐える。
するとフッと表情を緩めた彼は「見て」と、右手を顔の前に掲げた。
男らしくも美しい大きな手は、なにも持っていない。
ベッドに横たわったまま、不思議に思いつつも彼の右手に注目していたら、手首がクルリと回され、まるで空中からなにかを掴んで取り出したような動きを見せられた。
握られた彼の右手は、私の目の前に。
その手がゆっくりと開かれたら……私の目は丸くなった。
バラの花の形をした銀の髪飾りが現れたのだ。
彼の睡眠時間を心配するふりをして退室を促せば、「そうだね。後の君の看病はメイドに任せよう」と立ち上がってくれたのでホッとした。
「ルアンナが謝りに来たとき、君は許してくれるよね?」
確認のようなその問いに、私は一拍の間を置いてから「はい」と答えた。
許そうと思う。きっちりと仕返しをしてからの話ではあるけれど。
仕返しを口にすれば、彼はきっと私の考え方を変えさせるべく椅子に座り直すと思われるので、それは黙っていた。
薄暗い部屋の中、私の本心を探ろうとするように青い瞳がじっと見下ろしているが、私は目を逸らさずにその無言の間に耐える。
するとフッと表情を緩めた彼は「見て」と、右手を顔の前に掲げた。
男らしくも美しい大きな手は、なにも持っていない。
ベッドに横たわったまま、不思議に思いつつも彼の右手に注目していたら、手首がクルリと回され、まるで空中からなにかを掴んで取り出したような動きを見せられた。
握られた彼の右手は、私の目の前に。
その手がゆっくりと開かれたら……私の目は丸くなった。
バラの花の形をした銀の髪飾りが現れたのだ。