悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
彼も私に気づいたようで、背筋を伸ばすと、大きな歩幅でこちらに向けて歩いてきた。
私たちは二歩の距離を置いて立ち止まり、私が挨拶する前に、王子の方からにこやかに声をかけてきた。
「これはこれは、竣工式でお見かけした御令嬢ではありませんか。このようにバッタリと廊下でお会いするとは、嬉しい偶然です」
呼び出しておきながら、なにを言うのかと、私は目を瞬かせる。
この国の言語を流暢に話す王子に、思わず「え?」と聞き返してしまうと、彼は握り拳を口元に添えてわざとらしい咳払いをした。
その咳払いの意味は、話を合わせろということなの……?
なぜそんなことをする必要があるのかと、懐疑的な視線を彼に向けたそのとき、後ろに甲高い女性の声を聞く。
「オリビアさん! そこでなにをしているの!?」
急いで駆け寄って、私と王子の間に割って入ったのは、ルアンナ王女だ。
レースをふんだんにあしらったピンクのデイドレスに身を包み、縦巻きの髪を同色のリボンで飾った王女は、私をキッと睨みつける。
呼ばれたから来ただけの私に対し、まるで王子にちょっかいを出していると言わんばかりの顔つきだ。
私たちは二歩の距離を置いて立ち止まり、私が挨拶する前に、王子の方からにこやかに声をかけてきた。
「これはこれは、竣工式でお見かけした御令嬢ではありませんか。このようにバッタリと廊下でお会いするとは、嬉しい偶然です」
呼び出しておきながら、なにを言うのかと、私は目を瞬かせる。
この国の言語を流暢に話す王子に、思わず「え?」と聞き返してしまうと、彼は握り拳を口元に添えてわざとらしい咳払いをした。
その咳払いの意味は、話を合わせろということなの……?
なぜそんなことをする必要があるのかと、懐疑的な視線を彼に向けたそのとき、後ろに甲高い女性の声を聞く。
「オリビアさん! そこでなにをしているの!?」
急いで駆け寄って、私と王子の間に割って入ったのは、ルアンナ王女だ。
レースをふんだんにあしらったピンクのデイドレスに身を包み、縦巻きの髪を同色のリボンで飾った王女は、私をキッと睨みつける。
呼ばれたから来ただけの私に対し、まるで王子にちょっかいを出していると言わんばかりの顔つきだ。