悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
王妃の衣装部屋を過ぎて、廊下の角をひとつ曲がれば、私にあてがわれた部屋がある。
その廊下の角に差しかかろうというところで、前から歩いてきた人と肩をぶつけそうになった。
「おっと、失礼」
そう言って半歩横にずれ、衝突を回避してくれたのは、見目麗しき貴公子。
胡桃色のサラサラとした前髪の下には、南の海のようなコバルトブルーの瞳が、優しげに弧を描いて私を見ている。
暑いのか、シルクのブラウスに黒のズボンのみという軽装をしていても、長身で男らしい立派な体躯と、纏う高貴な気品から、彼の輝きは少しも失われることはなかった。
「オリビア、おはよう」と気さくに声をかけてくれる彼こそが、この国の王太子、レオナルド・ハウエル・グラディウス・カルディンブルク。
私は両手をお腹のあたりで揃えて、頭を下げ、「王太子殿下、申し訳ございません」とぶつかりそうになった上に道を開けさせてしまったことを謝った。
すると明るい笑い声が降ってきた。
「そんなに畏まらないで。俺はオリビアを怒ったりしないよ。おはようと挨拶したんだから、謝罪じゃなく、その返事が欲しいな」
「おはようございます……」
その廊下の角に差しかかろうというところで、前から歩いてきた人と肩をぶつけそうになった。
「おっと、失礼」
そう言って半歩横にずれ、衝突を回避してくれたのは、見目麗しき貴公子。
胡桃色のサラサラとした前髪の下には、南の海のようなコバルトブルーの瞳が、優しげに弧を描いて私を見ている。
暑いのか、シルクのブラウスに黒のズボンのみという軽装をしていても、長身で男らしい立派な体躯と、纏う高貴な気品から、彼の輝きは少しも失われることはなかった。
「オリビア、おはよう」と気さくに声をかけてくれる彼こそが、この国の王太子、レオナルド・ハウエル・グラディウス・カルディンブルク。
私は両手をお腹のあたりで揃えて、頭を下げ、「王太子殿下、申し訳ございません」とぶつかりそうになった上に道を開けさせてしまったことを謝った。
すると明るい笑い声が降ってきた。
「そんなに畏まらないで。俺はオリビアを怒ったりしないよ。おはようと挨拶したんだから、謝罪じゃなく、その返事が欲しいな」
「おはようございます……」