悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
そんな彼女を宥めてくれたのはアンドリュー王子で、「偶然鉢合わせただけです。挨拶をと思い、僕がお呼び止めしました」と言い訳していた。
偶然を装ったのは、ルアンナ王女がもうすぐここに現れることを知っていたからなのね。
ということは、これからふたりでお茶を飲む予定でいたのかしら?
王子は今夜の、国王一家の晩餐にも招待されている。
その前に、王女とふたりきりの時間を強引に作られたのかもしれない。
その予想はどうやら正解しているようで、ルアンナ王女は野良猫を追い払うような手振りをして、私に言った。
「わたくしとアンドリュー様は、これからお茶の時間ですの。あなたの席はありません。お茶を飲みたいのでしたら、お母様の所へ行けばよろしいですわ」
王妃のもとへ行く気はさらさらないが、「わかりました」と会釈して、この場を離れようと片足を引いた。
けれども、焦りを笑顔で隠したような面持ちの王子に、「お待ちください!」と引き止められる。
「オリビア嬢、まだご挨拶が済んでおりません。どちらの家の御令嬢でしょう? お名前をお聞かせください」
父は名高い有力貴族で、その隣に私が立っていたことは、式典で見ているはず。
おそらく家の名も知っているのだろうと思われたが、仕方なく王子に話を合わせ、スカートを両手でつまんで軽く腰を落とし、挨拶した。
偶然を装ったのは、ルアンナ王女がもうすぐここに現れることを知っていたからなのね。
ということは、これからふたりでお茶を飲む予定でいたのかしら?
王子は今夜の、国王一家の晩餐にも招待されている。
その前に、王女とふたりきりの時間を強引に作られたのかもしれない。
その予想はどうやら正解しているようで、ルアンナ王女は野良猫を追い払うような手振りをして、私に言った。
「わたくしとアンドリュー様は、これからお茶の時間ですの。あなたの席はありません。お茶を飲みたいのでしたら、お母様の所へ行けばよろしいですわ」
王妃のもとへ行く気はさらさらないが、「わかりました」と会釈して、この場を離れようと片足を引いた。
けれども、焦りを笑顔で隠したような面持ちの王子に、「お待ちください!」と引き止められる。
「オリビア嬢、まだご挨拶が済んでおりません。どちらの家の御令嬢でしょう? お名前をお聞かせください」
父は名高い有力貴族で、その隣に私が立っていたことは、式典で見ているはず。
おそらく家の名も知っているのだろうと思われたが、仕方なく王子に話を合わせ、スカートを両手でつまんで軽く腰を落とし、挨拶した。