悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
「そのクロスが王女殿下の作品なのです。わたくしが編んだものは、箱の中に入っていた下手くそな方ですわ」
「えっ!?」と驚きの声をあげた王子から離れて歩きだし、私は長椅子の上に無造作に置かれているルアンナ王女のレースを手に取った。
それを持って王女の隣に立つと、深々と頭を下げる。
「王女殿下、大変申し訳ございませんでした。いたずら心が芽生えて、レースを入れ替えたことを心よりお詫び申し上げます」
嘘の謝罪をして顔を上げれば、ルアンナ王女は言葉も出ないほどに驚き、目を見開いている。
私が優しい娘ではないことを、王女は知っている。
やられたらやり返す主義であることは、以前、彼女のレースに悪口を編み込んだことで伝わっているはずだ。
そんな私が自分を貶めて、彼女の利となる方に話を作っているのだから、戸惑わせて当然であった。
信じられないと言いたげに、半開きの口で私をマジマジと見つめるだけの王女。
「許してくださいますか?」と声をかけたら我に返ったような顔をして、「え、ええ……」と上擦る声で返事をした。
子供が編んだような拙いレースを手に王子の前まで戻った私は、彼にも頭を下げてから、はっきりとした声で主張する。
「わたくしはこのようなことをしでかす、心の醜い女です。許してくださったルアンナ王女殿下こそが、美しい淑女でいらっしゃいますわ。どうか、お探しになるお相手を見誤らないでくださいませ」
「えっ!?」と驚きの声をあげた王子から離れて歩きだし、私は長椅子の上に無造作に置かれているルアンナ王女のレースを手に取った。
それを持って王女の隣に立つと、深々と頭を下げる。
「王女殿下、大変申し訳ございませんでした。いたずら心が芽生えて、レースを入れ替えたことを心よりお詫び申し上げます」
嘘の謝罪をして顔を上げれば、ルアンナ王女は言葉も出ないほどに驚き、目を見開いている。
私が優しい娘ではないことを、王女は知っている。
やられたらやり返す主義であることは、以前、彼女のレースに悪口を編み込んだことで伝わっているはずだ。
そんな私が自分を貶めて、彼女の利となる方に話を作っているのだから、戸惑わせて当然であった。
信じられないと言いたげに、半開きの口で私をマジマジと見つめるだけの王女。
「許してくださいますか?」と声をかけたら我に返ったような顔をして、「え、ええ……」と上擦る声で返事をした。
子供が編んだような拙いレースを手に王子の前まで戻った私は、彼にも頭を下げてから、はっきりとした声で主張する。
「わたくしはこのようなことをしでかす、心の醜い女です。許してくださったルアンナ王女殿下こそが、美しい淑女でいらっしゃいますわ。どうか、お探しになるお相手を見誤らないでくださいませ」