悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
愛しき王子の妃となれる喜びに、ルアンナ王女から感謝された私は、毎日のようにこの部屋に呼ばれて懐かれている。

それは私にとって迷惑なことではなく、新鮮な楽しさを覚えていた。

人形のアマーリアだけが友達だった私に、同じ年頃の友ができるのは初めてのことなのだ。


今制作中なのはクッションカバーで、和気あいあいとレースを編みながら、「ルアンナは変わったわね」とクスリと笑って評価した。

私に対してだけではなく、使用人に向けての言動も優しくなったと、この前、王女付きの侍女がこっそり教えてくれた。

それを好意的に捉えて口元を綻ばせているのだが、他国の見知らぬ王城に輿入れすることを思えば心配にもなる。


「アリンガム王国の生活はどのような感じなのかしら? 王宮生活を無事に送るためには、したたかさを失ってはいけないわ。優しくするのもほどほどにね」


王女の今後を思って注意すれば、気の強さは変わらない彼女にすぐに言い返された。


「性格を直すようにと、前にオリビアが言ったのよ。おかしなアドバイスをするのね」

「優しくなれとは言っていないわ。白き心では誰かの罠にはまるかもしれない。気をつけて」

「その言葉、そっくりそのまま返すわ。悪女ぶって実は優しい。それはオリビアの方じゃない。レオナルドお兄様の花嫁候補は大勢いるのよ。もっとずる賢く攻めないと、勝ち抜けないから」

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