悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
小さなため息を編みかけのバラの模様に落とせば、ルアンナ王女に「大丈夫よ」と勘違いの慰められ方をされた。


「あなたが花嫁候補の最有力でしょう。なんといってもオルドリッジ公爵令嬢なのだから。でもお母様はアクベス侯爵家のロザンヌ嬢をと考えていそうね。そこは少し心配だわ」


王妃殿下は私の家よりも、アクベス侯爵家との親交が深い。

アクベス家主催の音楽サロンに通い、侯爵夫人と観劇に出かけることもある。

アクベス家の現当主は婿入りで、実権は妻であるルイーザ夫人が握っていると父に教えられた。

そのアクベス家と母の間で、過去には領地を巡る諍いもあり、敵対関係といっても過言ではないほどに確執がある。


さらに母は王妃との折り合いも悪いそうで、王妃が私に嫌味を言うのは、私を気に入らないという理由だけではなく、母の娘であるからなのかもしれない。

王妃の立場からしたら、私よりも、親しい付き合いをしているアクベス侯爵家のロザンヌ嬢を息子の花嫁にと考えて当然であった。
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