悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
その配慮に心が揺れたのをあえて無視して、私は『くつろげないわよ』と口に出さずに毒づいた。
それでも使用人がそばにいない状況は、私にとって都合がいいことでもある。
王太子妃失格となるために、これから私は粗相をしようと企んでいる。
その失敗をメイドにフォローされては、台無しになるからだ。
黒い企みに意識を向ければ、戸惑いは消えて、「いただきます」とティーフーズに手を伸ばした。
自分の皿にのせたのは上段のレモンケーキで、それを見ている王太子が目を瞬かせたのは、私がお茶会の作法を無視したからであろう。
下段のサンドイッチを最初に食べて、次に中段のスコーン、最後に上段のケーキを取るのが正しいマナーなのだ。
彼を戸惑わせたことに心の中でほくそ笑み、間違いを指摘されることを待ち望んでいた。
しかし王太子の微笑みは保たれたままで、なんと彼までもが上段ケーキを初めに取って食べ始めたから、驚かされた。
「え……?」と思わず呟けば、「どうした?」と青い瞳を細めて問い返される。
「い、いえ。なんでもございません。どうかお気になさらず……」
「そう。オリビアは今日もルアンナにレース編みを教えていたと聞いたよ。妹の花嫁修行に付き合ってくれてありがとう」
それでも使用人がそばにいない状況は、私にとって都合がいいことでもある。
王太子妃失格となるために、これから私は粗相をしようと企んでいる。
その失敗をメイドにフォローされては、台無しになるからだ。
黒い企みに意識を向ければ、戸惑いは消えて、「いただきます」とティーフーズに手を伸ばした。
自分の皿にのせたのは上段のレモンケーキで、それを見ている王太子が目を瞬かせたのは、私がお茶会の作法を無視したからであろう。
下段のサンドイッチを最初に食べて、次に中段のスコーン、最後に上段のケーキを取るのが正しいマナーなのだ。
彼を戸惑わせたことに心の中でほくそ笑み、間違いを指摘されることを待ち望んでいた。
しかし王太子の微笑みは保たれたままで、なんと彼までもが上段ケーキを初めに取って食べ始めたから、驚かされた。
「え……?」と思わず呟けば、「どうした?」と青い瞳を細めて問い返される。
「い、いえ。なんでもございません。どうかお気になさらず……」
「そう。オリビアは今日もルアンナにレース編みを教えていたと聞いたよ。妹の花嫁修行に付き合ってくれてありがとう」