メガネ男子と虹の空
本社にいる私には当然のことながら工場の様子は見えない。だから想像するしかなかった。
いつだって思い出されるのは失敗の数々で、過ぎたこととはいえ顔が熱くなる。
俯かずにはいられなかった。
「そっか、だから『有名人』なんですね」
久しぶりに蘇る過去はいまだに他人にも鮮やかなのだろう。消えてしまいたくなる。
「わざと?」
え、とそっと目線をあげた先、樽見さんが不機嫌そうな顔をしていた。
「そのネガティブは慰めてもらおうと思ってわざとやってんの?」
怒った、のだろうか。無理もないか。せっかくの休日、おいしいものを食べているときに雰囲気を台無しにする愚痴を零すなんて。しかも、ほとんど初対面の人に向かって。
ですよねーって、笑って同意することもできた。
だけど私はそうしなかった。うっかりした失言とはいえ本音を、本当の気持ちをごまかしたくなかった。
「慰めてくれるんですか? 樽見さんなら」
いつだって思い出されるのは失敗の数々で、過ぎたこととはいえ顔が熱くなる。
俯かずにはいられなかった。
「そっか、だから『有名人』なんですね」
久しぶりに蘇る過去はいまだに他人にも鮮やかなのだろう。消えてしまいたくなる。
「わざと?」
え、とそっと目線をあげた先、樽見さんが不機嫌そうな顔をしていた。
「そのネガティブは慰めてもらおうと思ってわざとやってんの?」
怒った、のだろうか。無理もないか。せっかくの休日、おいしいものを食べているときに雰囲気を台無しにする愚痴を零すなんて。しかも、ほとんど初対面の人に向かって。
ですよねーって、笑って同意することもできた。
だけど私はそうしなかった。うっかりした失言とはいえ本音を、本当の気持ちをごまかしたくなかった。
「慰めてくれるんですか? 樽見さんなら」