最後の花火
朝陽
 どうしてこれを朝陽が持ってくるんだろう。朝陽が持っていたということなんだろうか。受け取りながら紗菜がそう尋ねるより早く、朝陽のほうから言ってきた。

「幹仁から話を聞いて、持ってたヤツのところから回収してきた」

 朝陽は紗菜の家を知らないはずだ。

「大変だったんじゃないの?」

「まあね。紗菜と中学が一緒だったヤツを探して、そいつから聞き出した。来ること自体は楽勝」

 じゃ、と言って朝陽は笑うと、これで用は済んだとばかりにさっさと出ていった。
 戸が閉まってから、紗菜は朝陽が自転車で来ただろうことを想像し、慌てて外に飛び出した。お礼を伝えていない。

「朝陽くん!」

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