最後の花火
持ってきたトートバッグからテキストを出しながら、にやけそうになるのをこらえる。制服か体育着か練習着しかみたことがないから、襟付きの半袖シャツ姿が新鮮だった。Tシャツも似合うけれど、きちんとした感じのあるカジュアルな服装は特にいいと思った。
彼の名前は知っている。朝陽(あさひ)だ。サッカー部で春からレギュラーの座を勝ち取った。紗菜とは同じクラスだ。
「朝の寺の空気って清涼感あふれてるな」
と発言したのは、当然のことながら紗菜ではない。朝陽の向かい側にいる男性、もとい男子高校生のうちの一人だ。見覚えがないから、他所のクラスの生徒だろう。
「悪りぃ、人数多いからクーラー強めてある」
「ンだよ、そっちかよ!」
笑い声がはじける。
紗菜にはいまの一言のどこがそれほどおかしかったのか、よくわからなかった。
彼の名前は知っている。朝陽(あさひ)だ。サッカー部で春からレギュラーの座を勝ち取った。紗菜とは同じクラスだ。
「朝の寺の空気って清涼感あふれてるな」
と発言したのは、当然のことながら紗菜ではない。朝陽の向かい側にいる男性、もとい男子高校生のうちの一人だ。見覚えがないから、他所のクラスの生徒だろう。
「悪りぃ、人数多いからクーラー強めてある」
「ンだよ、そっちかよ!」
笑い声がはじける。
紗菜にはいまの一言のどこがそれほどおかしかったのか、よくわからなかった。