覇王と女官の恋~囚われの花嫁~
「皇帝に拝謁いたします」

「立つがよい」

今日は衣装の採寸の日だ。

(面倒だな)

そう思いながら正面にいる女官を
見た瞬間

(なんて綺麗なんだ)

自分が一目惚れ?
有り得ないと思った。しかしこれは現実だ。

「皇帝?」

目の前の女官に声をかけられて我に返った。
採寸をしている最中もドキドキが止まらな
かった。

採寸が終わると俺は

「待ってくれ」

つい声をかけてしまった。

「そなたの名前は?」

「杏、です」

「そうか、いい名だな。引き止めて悪かった」

「いいえ。大丈夫です」

杏は少し驚いていたが、礼をして
その場を去っていった。

(好きになってしまった)

浩然は自分の気持ちを理解した。
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