覇王と女官の恋~囚われの花嫁~
「話は、そなたに衣装の礼がしたくて
 呼んだのだ。忙しい所すまない」

「いいえ。大丈夫でございます」

(私今、貴妃が座る所にいる?!)

杏は動揺していたが、平静を装った。

「杏はきちんと教えているのだな。
 失敗しても責めない所は凄い
 と思う」

「ありがとうございます。
 褒められたことを誇りに思います」

まさか褒められるとは思わなかった
ので、少し顔が赤くなっているのが
自分でも分かる。

「そなたのような人が私の貴妃に
 なればいいのにな」

ドキっ

杏は心臓が跳ねた気がした。
顔が更に赤くなる。

「そ、そのようなことを言わないで
 下さい。勘違いしてしまいます」

「今日は言わないと思っていたが
 無理だ、勘違いではない。俺は杏が好きだ」

耳元で言われ杏はもうどうすれば
いいのか分からなくなった。

「わ、私ちょっと用事を思い出しました」

いてもたってもいられなくなり、杏は
皇帝堂を後にした。

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