イジワル外科医の熱愛ロマンス
翌朝、医局に顔を出していた数人の研修医が、附属病院での勤務に就く為に出て行った後、私は昨夜焼いたクッキーを木山先生に渡した。
「え? 僕に?」
研修医たちと会話を終え、自分のデスクに戻ろうとしていた木山先生は、綺麗にラッピングしたクッキーの包みと私を交互に見遣り、きょとんとした目をした。
「はい。あの……最近の私の失態のせいで、いろいろとご迷惑をかけてしまっているので、そのお詫びに。と言っても、こんなもので申し訳ないんですけど」
どれもちゃんと味見をして、自分でも美味しいと思える出来映えだったし、その中でも綺麗に焼けた物を厳選して詰めてきた。
だけど、手作りのクッキーでお詫びなんて、自分でも子供っぽい気がして、今頃になって恥ずかしくなる。
「あ、あの。迷惑だったら、捨てちゃってくれて、結構です。今度ちゃんとお食事にでも、と思ってますから……」
私は逃げるように目線を床に落とし、そう取り繕った。
それには、「いやいや」と慌てたような声が返される。
「お詫びとか、気にしなくていいのに。律儀だね、本郷さんって」
木山先生はハハッと笑い飛ばしてから、「でも」と一言付け加えた。
「ありがたくいただくよ。クッキー? 僕は結構甘い物好きだから、嬉しい」
「え? 僕に?」
研修医たちと会話を終え、自分のデスクに戻ろうとしていた木山先生は、綺麗にラッピングしたクッキーの包みと私を交互に見遣り、きょとんとした目をした。
「はい。あの……最近の私の失態のせいで、いろいろとご迷惑をかけてしまっているので、そのお詫びに。と言っても、こんなもので申し訳ないんですけど」
どれもちゃんと味見をして、自分でも美味しいと思える出来映えだったし、その中でも綺麗に焼けた物を厳選して詰めてきた。
だけど、手作りのクッキーでお詫びなんて、自分でも子供っぽい気がして、今頃になって恥ずかしくなる。
「あ、あの。迷惑だったら、捨てちゃってくれて、結構です。今度ちゃんとお食事にでも、と思ってますから……」
私は逃げるように目線を床に落とし、そう取り繕った。
それには、「いやいや」と慌てたような声が返される。
「お詫びとか、気にしなくていいのに。律儀だね、本郷さんって」
木山先生はハハッと笑い飛ばしてから、「でも」と一言付け加えた。
「ありがたくいただくよ。クッキー? 僕は結構甘い物好きだから、嬉しい」