イジワル外科医の熱愛ロマンス
「あー……もしかして。木山のヤツ、今度は本郷さんにまで『恩』売ろうとしてんのか」
さすが、学内一の秀才と呼ばれるドクターだ、と唸りそうになる。
私がほとんどなにも言わなくても、いろんな状況から判断して、核心のすぐそばに一気に迫ってくる。
一色先生は黙って目を伏せる私に肩を竦め、美奈ちゃんの肩をポンと叩くと、木山先生の後を追うように配膳カウンターに向かっていった。
私と美奈ちゃんは、二人でその背を見送る。
一色先生が、先に行った木山先生の隣に並んでトレーを手にするのを見守って、美奈ちゃんが私にコソッと耳打ちしてきた。
「あの~、雫さん。いっそ木山先生と付き合ってみるとか、ダメですか?」
「っ、えっ!?」
割と真剣な顔をしてとんでもないことを言う美奈ちゃんに、私はギョッとして勢いよく首を横に振って見せた。
「な、なにを言ってるんですか。む、無理です」
「え~。やっぱり腹黒オジさんだからとか? あ、実は雫さんも私と同じで、イケメンの方がいいとか……」
「違いますってば。木山先生じゃ無理ということではなくて……私なんかじゃ、木山先生にも迷惑です」
美奈ちゃんが目線を上に向けて考えるように呟くのを遮って、私は肩を落として溜め息をついた。
それには美奈ちゃんが、「え~?」と反論するように間延びした声を出す。
さすが、学内一の秀才と呼ばれるドクターだ、と唸りそうになる。
私がほとんどなにも言わなくても、いろんな状況から判断して、核心のすぐそばに一気に迫ってくる。
一色先生は黙って目を伏せる私に肩を竦め、美奈ちゃんの肩をポンと叩くと、木山先生の後を追うように配膳カウンターに向かっていった。
私と美奈ちゃんは、二人でその背を見送る。
一色先生が、先に行った木山先生の隣に並んでトレーを手にするのを見守って、美奈ちゃんが私にコソッと耳打ちしてきた。
「あの~、雫さん。いっそ木山先生と付き合ってみるとか、ダメですか?」
「っ、えっ!?」
割と真剣な顔をしてとんでもないことを言う美奈ちゃんに、私はギョッとして勢いよく首を横に振って見せた。
「な、なにを言ってるんですか。む、無理です」
「え~。やっぱり腹黒オジさんだからとか? あ、実は雫さんも私と同じで、イケメンの方がいいとか……」
「違いますってば。木山先生じゃ無理ということではなくて……私なんかじゃ、木山先生にも迷惑です」
美奈ちゃんが目線を上に向けて考えるように呟くのを遮って、私は肩を落として溜め息をついた。
それには美奈ちゃんが、「え~?」と反論するように間延びした声を出す。