イジワル外科医の熱愛ロマンス
美奈ちゃんの言葉が信じられず、私は再び彼女に目を向けた。
美奈ちゃんは私の視線を受けて、『やれやれ』とでも言いたげに胸の前で腕組みをする。


「ただのリップサービスだったら、笑って取り繕えばいい話じゃないですか。あんなに真剣な顔で追いかけるなんて、嫌われたくないからに決まってます」

「な、なんで」

「そりゃあ、雫さんのこと気に入ってるからでしょう? 私は、好きなのかなあ~って思いましたけど」

「!?」


あまりにもサラッと言われて、私はギョッとして目を剥いた。


「好きって……! な、なにを美奈ちゃ……」


慌てて否定しようとしたけれど、あまりの衝撃発言に、なにをどう言っていいのか全然わからない。
真っ赤な顔であわあわと慌てる私をじっくり観察してから、美奈ちゃんは「はあ」と息をついた。


「ついでに言うと……雫さんが木山先生とコソコソしてるのも、宝生先生絡みだってわかってますよ~」

「どっ……どうして、そんな」


完全に見透かしている上、呆れたように呟かれ、私は思わず口ごもってしまう。


「だって雫さん、前に私に言ったじゃないですか。『私は恥ずかしくて好きな人を避けちゃうタイプだ』って」

「えっ……」


サラッと口にした美奈ちゃんに、私は大きく目を剥いた。
そして、思い出す。
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