イジワル外科医の熱愛ロマンス
確かに、美奈ちゃんがまだ一色先生と付き合う前に、私はそう言ったことがある。
「ええと……それは、ですね……」
なんて説明すればいいのか。
実際に私が好きな人を避けたのは、中学生の頃、一度だけだ。
祐に酷いことを言われて失恋する前。
祐と話したいと思うのに、周りにどう見られるか、そして彼にどう思われるか、そんなことばかり考えていた。
彼の目に私がどんな風に映るか考えたら、恥ずかしさのあまり避けてしまった。
それしか記憶にない。
そんな昔のたった一度、祐限定のこと。
……とは言えず、言葉に詰まる私の前で、美奈ちゃんがなにやら大きく胸を張った。
「だから、今度は私が雫さんの背を押してあげます」
「え?」
美奈ちゃんが言う『今度は』の意味がわからない。
私が首を傾げると、彼女はひょいと肩を竦めた。
「私が一色先生に真っすぐぶつかって行けたのは……気になって仕方ないって気持ちを、雫さんが『恋だ』って気付かせてくれたおかげなんですから!」
声に力を込めて、ちょっと恥ずかしそうに、美奈ちゃんは『へへ』と小さく舌を出した。
「え? 私が……?」
「も~っ。雫さん、すごくカッコいいこと言ってくれたの、覚えてないんですか!? 『知りたい気持ちが強くなったら、それはもう好奇心じゃなくて好意だ』って。私に、そう言ってくれたじゃないですか!」
「あっ、それは……」
「ええと……それは、ですね……」
なんて説明すればいいのか。
実際に私が好きな人を避けたのは、中学生の頃、一度だけだ。
祐に酷いことを言われて失恋する前。
祐と話したいと思うのに、周りにどう見られるか、そして彼にどう思われるか、そんなことばかり考えていた。
彼の目に私がどんな風に映るか考えたら、恥ずかしさのあまり避けてしまった。
それしか記憶にない。
そんな昔のたった一度、祐限定のこと。
……とは言えず、言葉に詰まる私の前で、美奈ちゃんがなにやら大きく胸を張った。
「だから、今度は私が雫さんの背を押してあげます」
「え?」
美奈ちゃんが言う『今度は』の意味がわからない。
私が首を傾げると、彼女はひょいと肩を竦めた。
「私が一色先生に真っすぐぶつかって行けたのは……気になって仕方ないって気持ちを、雫さんが『恋だ』って気付かせてくれたおかげなんですから!」
声に力を込めて、ちょっと恥ずかしそうに、美奈ちゃんは『へへ』と小さく舌を出した。
「え? 私が……?」
「も~っ。雫さん、すごくカッコいいこと言ってくれたの、覚えてないんですか!? 『知りたい気持ちが強くなったら、それはもう好奇心じゃなくて好意だ』って。私に、そう言ってくれたじゃないですか!」
「あっ、それは……」