イジワル外科医の熱愛ロマンス
まさに、お昼に学食でした会話のせいかもしれない。
私と祐、木山先生の三人が揃ったせいで、好奇心がくすぐられているのだろう。
私とほんのちょっと目が合うと、美奈ちゃんはどこか慌てたように、顔を真っすぐパソコンに向け直した。


わざとらしいくらいピンと背筋を伸ばし、仕事に集中する素振りを見せている。
そんな彼女に苦笑していると、祐が、「で?」と私に短く訊ねかけてきた。


「本郷さん。さっきから、なんで木山先生に隠れてるの?」


からかうようにクスクス笑いながら、ヒョイッと首を傾げて私を覗き込んでくる。
不意打ちで視界に入り込んできた祐の姿にドキッとして、私は無意識にゴクッと唾を飲んでしまった。
彼の行動で思い出したとでもいうように、木山先生が「あ」と言いながら、ポンと一つ手を打つ。


「そうだ。宝生先生」


木山先生は私と祐の間に身を滑らせ、割り込んでくる。
割と露骨に阻まれたような格好になり、祐が怪訝そうな声を漏らした。


「木山先生? なんでしょう?」

「僕も今聞いたんだけど、なんでも来週、本郷さんを出張に同行させるとか」

「……なにか、マズいでしょうか?」


直球で向けられたその話題に、祐が警戒するように声を潜めた。
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