イジワル外科医の熱愛ロマンス
「え?」
木山先生が片目をバチッと瞑りながら、どこかおどけた調子で言うのに、私と祐が反応した声が被った。
「え?じゃないよ。だって君はもう僕の彼女だから。上司としては出張を止めることはできないけど、君の恋人として、宝生先生にも釘は刺しておきたいんだよ」
「彼女……?」
私には、どうにも聞き慣れない言葉。
耳にしたそのままを、無意識に自分の口で繰り返して呟いた。
「なっ……嘘ですよね、恋人って……」
祐もギョッとしたように、上擦った声で質問を畳みかけた。
呆然とする私の前で、木山先生はふふっと面白そうに微笑み、胸の前で腕組みをする。
「本当だよ。なんだか宝生先生が積極的で、僕も焦ってね。実は本郷さんに交際を申し込んだんだ。で、OKもらえたってこと」
祐は大きく目を見開き、息をのんだ。
あまりの事態に呆然としていた私もようやく我に返り、焦って口を開いた。
けれど。
「ええええっ!? 木山先生と雫さんが!? ま、マジですかあっ!?」
相変わらず聞き耳を立てていたらしい美奈ちゃんが、医局の窓がビリビリと震えるくらい素っ頓狂な大声をあげた。
おかげで、「先生」と呼びかけた私の声は、完全に掻き消されてしまった。
木山先生が片目をバチッと瞑りながら、どこかおどけた調子で言うのに、私と祐が反応した声が被った。
「え?じゃないよ。だって君はもう僕の彼女だから。上司としては出張を止めることはできないけど、君の恋人として、宝生先生にも釘は刺しておきたいんだよ」
「彼女……?」
私には、どうにも聞き慣れない言葉。
耳にしたそのままを、無意識に自分の口で繰り返して呟いた。
「なっ……嘘ですよね、恋人って……」
祐もギョッとしたように、上擦った声で質問を畳みかけた。
呆然とする私の前で、木山先生はふふっと面白そうに微笑み、胸の前で腕組みをする。
「本当だよ。なんだか宝生先生が積極的で、僕も焦ってね。実は本郷さんに交際を申し込んだんだ。で、OKもらえたってこと」
祐は大きく目を見開き、息をのんだ。
あまりの事態に呆然としていた私もようやく我に返り、焦って口を開いた。
けれど。
「ええええっ!? 木山先生と雫さんが!? ま、マジですかあっ!?」
相変わらず聞き耳を立てていたらしい美奈ちゃんが、医局の窓がビリビリと震えるくらい素っ頓狂な大声をあげた。
おかげで、「先生」と呼びかけた私の声は、完全に掻き消されてしまった。