イジワル外科医の熱愛ロマンス
今まで人に言えずにいた自分を、曝け出したせいなのか。
その後私はなにか吹っ切れた気分で、仕事に集中することができた。


木山先生のアシスタントで医局から出ていることが多いから、祐との鉢合わせを気にせずに済む。
美奈ちゃんとの会話では、私がハマっているゲームのことを話題にできるようになり、もともと楽しい職場が、今はとても充実している。


終始気持ちが上向いているからか、あんなに嫌だと思った祐との出張も、正直なところ、『なるようになれ!』と吹っ切っていられた。
と言っても……私が自分で出張の手配をゆっくりする時間ないせいで、新幹線の手配を美奈ちゃんに任せてしまった、そのせいでもあったけれど……。


私は、出張直前になって、気が緩んでいた自分を後悔する羽目になった。


『すみません、雫さん! 結局土曜日の新幹線、キャンセル待ちでも取れなくて。仕方ないから前日の業務後の時間で、押さえたんですけど』


美奈ちゃんはそう言って、前日の日付の入った新幹線のチケットを私に手渡し……。


『実はホテルが、満室で取れなかったんです!!』


ヒョコッと肩を竦めて、悪びれずにそう言ったのだった。
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