イジワル外科医の熱愛ロマンス
実際なにをやらせても苦も無くスマートにこなすし、順位をつけられるものはいつも一番、悪くてもトップスリーには名を連ねる。


家柄も育ちもよく、その上恵まれたこのルックス……。
小さい頃から人に囲まれることに慣れているから、明るく社交的。
彼の周りには、いつもたくさんの人が群がる。
それ故、堂々としていて、なにに対しても清々しいほど強気。


けれどそれは、私のように地味で目立たない人間には、傲慢で勝手というのと同義なのだ。


祐といると嫌でも心の傷が疼き、息苦しささえ感じる。
早く逃げ出したくて、私は早口で彼に答えた。


「き、許可もなく、ズカズカ近寄ってくるとことか」


それを聞いて、祐はハッと浅い息を吐いて笑った。


「そんなことにも許可取らなきゃいけないのか、旧華族の『お姫様』には」

「その言い方、やめてください。今のは、たとえの一つです」


必死に冷静を装って言い返すと、彼が壁についた手をギュッと握り締めるのがわかった。


「……俺が本当に勝手で傲慢な人間だったら、婚約解消なんて言い出せないように、さっさとお前に手出してたけど?」


さっきよりも、私に落ちてくる影が濃くなる。
祐が、更に身を屈めている。
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