イジワル外科医の熱愛ロマンス
ここは園田教授のお気に入りで、大阪出張で宿泊を伴う時は、特別指示されなくても暗黙の了解で手配するホテルだ。


園田教授の為に手配したラグジュアリーツインルームは、広さ的には三十平米ほどで、シックな印象の立派な部屋だった。
ベッドは二台ともセミダブルで、ベッド間の間隔も十分取られている。
テレビもライティングデスクも、窓際のテーブルとカウチソファも、置かれている家具自体は、どこのホテルともそれほど大差はない。
ただ、一つ一つの家具やリネンがとても高級で上等な物だった。


素敵な部屋をグルッと見渡し、私はほおっと息をついた。
本当はいつもスーペリアダブルの部屋を手配するのだけど、今回はダブルルームが取れずツインになってしまった。
それが私にとっては災いとなった。
いや……よかった、と言うべきなんだろうと思う、本当なら。


だって、ほとんど馴染みのないカラオケボックスやらファミレスとかで一晩一人で過ごすのは、私だって本当は心細かった。
ほんのちょっとインターネットカフェというものに興味はあったけれど、私の二次元はソーシャルゲーム専門。
スマホがあれば済むし、わざわざそんなところで一晩過ごしたいとは思わない。
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