イジワル外科医の熱愛ロマンス
「そ、そんなこと。なんで祐にそんなこと……」


しどろもどろになった声は、小さく消え入ってしまう。
祐は私を目の前で観察している。
まるで、今にも獲物に食いつこうと、間合いを測っているライオンのような格好で。


「俺を誤魔化そうなんて思うなよ。これでもお前のことはよく知ってる。ずっと見てりゃあ、わかるんだよ」


私がギュッと目を閉じた時、祐は溜め息交じりにそう言った。


「……え?」


そおっと目を開けて窺うと、彼は片方の拳を口元に当て、視線をつっと横に逸らしていた。


「木山先生と付き合ってるって宣言から……お前、先生と一緒にいても、全然平気な顔してる。あれのどこが、恋する女の顔だって言うんだ」


祐の指摘に胸がドキッと音を立てる。


「平気な顔って……」


困惑して、私は声を途切れさせた。


「俺を侮るな。それに……今だって」


それに被せるように、祐が早口で言い切る。


「本当に付き合ってるんだったら、もう二次元の男相手の恋愛なんかしなくて済むのに、バカみたいにゲームに熱中してた」

「そ、れはっ……!」


さっきの私を、完全に見抜かれていた。
私は言い訳になる言葉を探して、無駄に視線を彷徨わせる。
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