イジワル外科医の熱愛ロマンス
やがて痺れは身体のみに留まらず、背筋を貫いて私の脳までも麻痺させた。


「や、んんっ……ゆ、たかっ……」


彼の胸を押す手からも、力が抜けていく。
唇の隙間から零れる、甘ったるく鼻にかかった声が、とても信じられない。


「……雫」


完全に抵抗を忘れた私を、祐がギュッと抱き締めた。
そしてキスをしたまま、私に体重を預けるようにして、傾いていく。
気付いた時、私はベッドに仰向けで横たわっていた。


「っ、あ……」


唇から温もりが離れていく。
乱れた呼吸の下で、私は小さな声を漏らし、身を竦ませた。


耳元で、ベッドが軋んだ。
祐はベッドに突っ張った両腕の中に私を囲い込み、ゆっくりと上体を起こした。
天井から降り注ぐライトを遮って、切なげに細めた目で私を見下ろしている。


「……今回はやめてやらない。ちゃんと優しくしてやるから……雫、俺のものになれ」


わずかに目の下を紅潮させ、祐はそう言って吐息を漏らした。
なにかに焦れるような、苦しげな表情からは、ゾクゾクするくらい鮮烈な色気が匂い立つ。


こんな祐を、遠い記憶で知っている。
そして、あの時、私は――。


ドクッと大きな音を立てて、私の心臓が拍動した。
鼓動のリズムが激しく狂い、うまく呼吸もできなくなってしまう。
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