イジワル外科医の熱愛ロマンス
中京医科大学の学長と心臓血管外科医局の教授とは、去年園田教授の出張に同行した時、初めてお会いした。
その後も、彼らが東都大学を訪問したり、地方でのシンポジウムでご一緒したりと、親睦がある。


今日の視察では、最初に学長室に通され、私は祐を紹介した。
園田教授の代理で伺うことは、あらかじめ連絡してある。
学長も教授も、祐が宝生総合病院の御曹司だということは知っている様子で、にこやかに歓迎してくれた。


こういう紹介の場での祐については、なんの心配もいらない。
相変わらず人馴れしていて社交性も高く、話術も巧み。
加えて同じ専門医学の話題となれば、もうお手の物。
初対面の上、目上の学長や教授相手でも、祐は臆することなく堂々としていて、私の目にも頼もしく映った。


三十分ほどの会談の後、今回の訪問目的である、大学病院内の視察に赴いた。
今回の視察の目的は、中京医科大学が新たに導入した体外循環装置。
国内でもいち早く取り入れていて、ここの教授は医学会で、医師教育プログラムの講師も担当している。


教授が祐に説明しながら、オペ室を中心に院内を案内してくれている。
私はただの付き添いだから、話の邪魔になってはいけない。
二人の二歩分後ろを、足音も気にしてゆっくり静かに歩きながら、ぼんやりと祐の背中を見つめた。
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