イジワル外科医の熱愛ロマンス
「え?」

「昨夜お前が言ったこと。どんなに思い返しても、全然記憶になかったからな」


足の上に肘を突き、顔の前で両手を組み合わせ、その向こうからジッと私を見据えてくる。


「俺がいつ、お前を拒んだって?」


それを聞いて、私はゆっくり身体を起こした。
祐が腰を浮かせて腕を貸してくれる。


「なんで……覚えてないんですか」


祐が引っ込めようとする腕をギュッと掴む。
私は、まるで非難するような口調で聞き返した。


「ずっと好きだったって言ったろ。俺がお前を拒むわけがない」


彼はなにも躊躇うことなくテンポよく返事をして、私を上目遣いに見遣る。


「そ、そんなわけない! だって、私聞いたんだから!」


祐が昨夜と同じことを口にしようとするのを、私は声を張って遮った。
彼はピクリと眉尻を上げる。


「なにを?」

「祐、私のこと絶対にないって言ったじゃないですか。れ、恋愛も、結婚も」

「……はあ?」

「私みたいなブスじゃなくて、学年一の美人の子がいいって!」


勢いづく私に、彼は訝しそうに眉を寄せる。


「学年一……?」

「なのに、ずっと好きだったなんて、嘘言わないで! そんなの信じられるわけ……」
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