イジワル外科医の熱愛ロマンス
美奈ちゃんと木山先生が、祐が匂わせたその言葉に食いついて、ニヤニヤしながら私を探るような目で見遣った。


「う、あ、あの……」


安心して無防備になった途端、予想外の方向からの攻撃。


「おめでとうございま~す!で、間違ってないですか? 雫さんっ!」


妙にウキウキした調子で、声を弾ませる美奈ちゃんに言い返す言葉をなにも見つけられず。
私はがっくりとこうべを垂れた。
そして。


「……い、を……」


腹を括って、小さくつっかえながら、美奈ちゃんに返事をする。


「え?」と聞き返してきた木山先生にもしっかりと向き合って、私はそっと顔を上げた。


「初恋を、やり直そうと、思うようになりました……」


私の返事を聞いて、美奈ちゃんも木山先生も、きょとんとした目をして私を見つめ返してくる。


「もう一度、好きになるところから、始めるんです」


二人の視線をくすぐったく感じながら、私は照れ臭さを必死に隠してそう報告したのだけれど。


「そ、そこからですか!?」


美奈ちゃんが、なんだかとても悲壮な様子で叫んだ。
木山先生は、ポカンと口を開けてから、天井を仰ぐ。


「気の毒に……宝生先生」

「な、なんでですか!  祐はそれでいいって言ってくれて!」


二人の反応には、憤慨しながら反論した。
なのに、木山先生は、黙ってブンブンと首を横に振る。
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