イジワル外科医の熱愛ロマンス
「勝算……?」


祐の言葉を繰り返し、私はそっと腕の力を緩めた。
そっと顔を上げると、ものすごい至近距離から、祐の真っすぐな瞳が私を射貫いてくる。
私の視線が自分に向くのを確認して、祐はニヤッと口角を上げ、不敵に微笑んだ。


「雫が俺への初恋を終えたのは中学生の時。お前の言う通り、それから俺たちはちゃんと成長を続けていて、ここからもう一度始まる恋は、等身大のものじゃなければ心がついていかない。手を繋ぐだけ、ゆっくり、急がず……そんな健全すぎるデートで満足できないのは俺だけじゃない。もちろん雫も……俺はそうなるってわかっていた」


堂々と強気に言い放つ祐の目力こもった眼差しから、私は目を逸らせない。
ただでさえ速かった私の鼓動は、今は爆音を立てて高鳴っている。


「まあ……これが何度も続けば、俺の方が先に次の行動仕掛けただろうけど。お前の方から……俺の想像よりも早く、お前の方が焦れてくれた。助かった」


太々しいくらいあっさりと言いのけ、祐は妖艶に目を細める。


「雫。俺はお前に『好き』って言わせるだけじゃ、目標達成にはならない。お前が俺を狂おしいくらい欲しがって、求めさせるのが俺のゴールだ。言ったろ、落としてやるって」

「っ……」
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