イジワル外科医の熱愛ロマンス
祐の部屋に入るのは、あの時以来……六年振りだ。
祐が腕で支えてくれるドアと彼の隙間を潜るようにして、室内に足を踏み入れた私は、ドア口でピタリと足を止めた。
部屋に置かれている家具は、配置も含めて、私の記憶とほとんどなにも変わっていない。
カーテンやベッドカバーこそ変わっていても、色合いや雰囲気にそう大きな変化はない。
こんなところでも懐かしさを覚え、なにか温かいものが胸を過るのを感じた。
けれど、そんな感覚はすぐに追い遣られてしまう。
私の背後で静かにドアを閉めた祐が、後ろから抱き竦めてきたからだ。
「っ……」
「雫、懐かしがってる場合じゃないだろ」
彼はどこか拗ねた調子で、私の耳元でそう囁く。
胸がドクッと大きな音を立てて跳ね上がった途端、祐がいきなり私を横抱きにして抱え上げた。
「ひゃっ……!」
足が床から離れ、心許ない。
同時に身体が浮き上がり、私は咄嗟に祐の首に両腕を回してしがみついた。
彼がククッと声を漏らして笑うのが、聞こえる。
「ゆ、祐っ! 重いですから、下ろしてください!」
焦って首を捻り、肩越しに床を見下ろしながら声をあげると、「重かねえよ」と返された。
祐が腕で支えてくれるドアと彼の隙間を潜るようにして、室内に足を踏み入れた私は、ドア口でピタリと足を止めた。
部屋に置かれている家具は、配置も含めて、私の記憶とほとんどなにも変わっていない。
カーテンやベッドカバーこそ変わっていても、色合いや雰囲気にそう大きな変化はない。
こんなところでも懐かしさを覚え、なにか温かいものが胸を過るのを感じた。
けれど、そんな感覚はすぐに追い遣られてしまう。
私の背後で静かにドアを閉めた祐が、後ろから抱き竦めてきたからだ。
「っ……」
「雫、懐かしがってる場合じゃないだろ」
彼はどこか拗ねた調子で、私の耳元でそう囁く。
胸がドクッと大きな音を立てて跳ね上がった途端、祐がいきなり私を横抱きにして抱え上げた。
「ひゃっ……!」
足が床から離れ、心許ない。
同時に身体が浮き上がり、私は咄嗟に祐の首に両腕を回してしがみついた。
彼がククッと声を漏らして笑うのが、聞こえる。
「ゆ、祐っ! 重いですから、下ろしてください!」
焦って首を捻り、肩越しに床を見下ろしながら声をあげると、「重かねえよ」と返された。