イジワル外科医の熱愛ロマンス
そうやって、私は彼の中から自分の存在を消していった。
私の中からも、祐への恋心を抹殺した。


物心ついた時から祐の後を追いかけていたから、私はこれまでの二十八年間で彼以外の人を好きになったことがない。
初めてで唯一の恋の相手から受けたその言葉は、私の心に驚くほど深く一生消えない傷を刻みつけた。


祐だけじゃない。
私はきっと、他の誰からも選んでもらえない。
このまま一生恋なんかできない。


そうやって、私は現実の恋に夢も希望も失い、十代にして逃避してしまった。
大学生になり、祐から逃げずに済むようになったのに、オシャレして自分を磨くこともせず、合コンやらパーティーやらは片っ端からお断り。
漫画や小説、映画で知る恋愛には、年相応に興味があったけど、『自分』が恋をするのは怖くて、男性からは完全に逃げていた。


そこで辿り着いたのが、自分がヒロインになり切ることができる恋愛ゲーム……二次元限定の恋というわけだ。


バーチャルだし、生身の男性が相手ではないけど、十分にドキドキさせてくれる。
その上、お相手は誰も彼もがイケメンだ。


時々意地悪や酷いことを言われたりしても、リアルの私が傷付くわけじゃない。
そしてもちろん、ゲームだから、それで終わりにはならない。
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