イジワル外科医の熱愛ロマンス
祐のプチ歓迎会から数日後――。
私は誕生日を迎え、二十八歳になった。
そしてその翌日、四月一日。
新年度を迎え、祐が正式に心臓外科医局の助教に着任した。


初日の今日、医局では臨時朝礼が行われ、そこで教授からたくさんの医局員に祐が紹介された。


祐の絶対的な自信に満ち溢れた強気な笑顔は、どこかちょっと生意気に思われそうなものなのに、ドクターたちの目には『頼もしい』とでも映ったんだろうか。
先日のプチ歓迎会の時同様、私の想像以上に簡単に、祐は医局員に馴染んでしまったようだ。


教授から、『宝生総合病院のご子息』という情報も伝えられ、若手の女性ドクターたちが、祐に向ける視線にわかりやすい『好意』を滲ませる。


彼が女性からそういう視線を向けられるのを、私は物心ついた頃から日常的に見てきた。


学校じゃない。
大人になって、職場でも、こんな光景を見ているという現実が、堪らなく苦痛だった。


祐の挨拶が終わって、みんなが温かい歓迎の拍手をする。
私が入職した時と同じその温かさ。
自分がこの心臓外科医局の一員だということを実感して嬉しいのに、妙に複雑な思いに駆られる。
だけど、私の隣で美奈ちゃんが力いっぱい拍手していたから、私もつられるように惰性で手を打った。
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