イジワル外科医の熱愛ロマンス
午前中、祐は教授室で、園田教授や木山先生からオリエンテーションを受けていた。
ドアの向こうから、時折明るく楽しそうな笑い声が聞こえる。
重厚なドアの方につい目を遣りそうになりながら、私はひたすら平静を装い、いつも通り仕事に勤しんだ。


お昼休憩は、美奈ちゃんと一緒に大学の学食に向かった。
先に来ていた整形外科医局の医局秘書、早苗さんと合流して、三人でテーブルを囲む。
早速美奈ちゃんが祐のことを話題に挙げて、早苗さんが羨ましそうに話題に乗るのを横目に、私は一心不乱に唐揚げ定食を食した。


医学部棟まで三人揃って戻ってきて、二階の階段を上り切ったところで、三階に向かう早苗さんと別れる。
そして私は美奈ちゃんと並んで廊下を進み、心臓外科医局に戻った。


普段日中の医局は、みんな病院や大学の講義で出払っていて、美奈ちゃんと私の二人しかいないことも多い。
けれど、お昼のこの時間は、医局に一度戻ってくるドクターも何人かいて、一日の中で一番医局が賑やかになる。


医局の奥にある簡易休憩スペースで、祐が他のドクターたちとコンビニおにぎりで昼食をとっているのが見えた。
彼を囲むのは、男女数人、みんな若手のドクターたちだ。
話題はそれぞれの専門研究のようで、会話はかなり盛り上がっている。
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