イジワル外科医の熱愛ロマンス
私の反応が不愉快だったのか、祐が眉をひそめる。


「ちゃんと、仕事で話しかけてる。……だろ?」

「えっ、あ……!」


素っ気なく一言呟くと、祐がいきなり私の腕を掴み上げた。
そのまま強く引っ張られて、私は立ち上がってしまった。


「ちょっ、乱暴なこと、やめてください」


美奈ちゃんに助けを求めようか、それとも自分で乗り切れるか。
心の中で葛藤したせいか、私の声はそれほど力のこもったものではなくなってしまった。
それを聞いて、祐も後方にいる美奈ちゃんを気にしたのか、肩越しにチラリと見遣る。


「お前がおとなしく返事すればいいんだよ」


そう言って私の腕を離してから、ヒョイッと肩を竦める。
私は解放された腕を引っ込めながら、祐から目を逸らした。


「……私ではなく、美奈ちゃんに頼んでもらえませんか?」


正直なところ、祐にキャンパスを案内するだけなら、美奈ちゃんにお願いしてもいいことだ。
事務、秘書、どちらの仕事という区切りはない。
どっちが対応してもいいことなら、美奈ちゃんの方がキャンパス内には詳しいんだし、絶対に適任だ。


「なんでお前じゃいけないんだよ」


なのに、祐はそんなことを言う。
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