イジワル外科医の熱愛ロマンス
そして、腰が抜けて椅子にドスンと座り込む私に踵を返し、さっさと医局を横切って行く。
途中、デスクで仕事をしていた美奈ちゃんに声をかけた。
「森居さん。本郷さん、ちょっと借りる。二時間くらい抜けるよ」
白衣の裾を翻し、精悍な顔に笑みを浮かべる。
声をかけられ笑顔を向けられた美奈ちゃんは、『は~い、どうぞごゆっくり~』と、明るく弾んだ声で返事をした。
そんなに快く送り出されてしまうと、熨斗をつけて贈呈されたような気分だ。
祐に反論できないことが悔しくて、私はグッと拳を握り締める。
そして、私は美奈ちゃんにほんのちょっと恨みがましい目を向けた。
美奈ちゃん……見惚れたりしないって言ってたのに、ポッと頬赤くしてるし……。
美奈ちゃんが頬を赤らめて祐に返事をしたことを、彼女の彼である一色先生に密告したい気分になってくる。
祐に腹が立ちすぎて、決して美奈ちゃんが悪いわけじゃないのに、彼女に八つ当たりしそうになる自分が嫌だ。
握った拳をプルプルと震わせて耐える私を、祐は足を止めて振り返る。
「なにやってんだよ。ほら、急げ」
「……はい」
途中、デスクで仕事をしていた美奈ちゃんに声をかけた。
「森居さん。本郷さん、ちょっと借りる。二時間くらい抜けるよ」
白衣の裾を翻し、精悍な顔に笑みを浮かべる。
声をかけられ笑顔を向けられた美奈ちゃんは、『は~い、どうぞごゆっくり~』と、明るく弾んだ声で返事をした。
そんなに快く送り出されてしまうと、熨斗をつけて贈呈されたような気分だ。
祐に反論できないことが悔しくて、私はグッと拳を握り締める。
そして、私は美奈ちゃんにほんのちょっと恨みがましい目を向けた。
美奈ちゃん……見惚れたりしないって言ってたのに、ポッと頬赤くしてるし……。
美奈ちゃんが頬を赤らめて祐に返事をしたことを、彼女の彼である一色先生に密告したい気分になってくる。
祐に腹が立ちすぎて、決して美奈ちゃんが悪いわけじゃないのに、彼女に八つ当たりしそうになる自分が嫌だ。
握った拳をプルプルと震わせて耐える私を、祐は足を止めて振り返る。
「なにやってんだよ。ほら、急げ」
「……はい」