イジワル外科医の熱愛ロマンス
『も~。楽しみにしすぎて早く来ちゃった私も悪いけどさ……』
スマホの画面に『雫』の顔は出てこないけど、ぷうっと頬を膨らませている様子が想像できた。
こういう時は、走ってきてくれた翔君を気遣うのが正解かと思っていたけど……。
『なるほど、そういうのもアリなのか』と、ゲームの中の『雫』に感銘を受けながら、次の翔君のセリフを待つ。
彼はニコッと笑顔になり、『ごめんね』と繰り返した。
『でも、そんなに楽しみにしてくれたなんて、嬉しいな。お詫びに、雫の好きなケーキご馳走するから。なにがいい?』
リアルの私の好みとは違う『ストロベリータルト!』というセリフを読んだ時、私はもうほとんど前を気にする余裕もなくなっていた。
そして、大学図書館のエントランスに足を踏み入れた、その時。
「おい。公道じゃないからって、いい大人が歩きスマホするなよ。学生が真似するだろ」
いきなりそんな声が頭上から降ってきて、同時に手からスッとスマホを抜き取られた。
ゲームに熱中するあまり、前から来た人にぶつかる寸前まで接近していたことも、私はまったく気付けず。
「ひゃっ……」
スマホを掠め取られて初めてギョッとして、慌ててピタリと足を止めた。
スマホの画面に『雫』の顔は出てこないけど、ぷうっと頬を膨らませている様子が想像できた。
こういう時は、走ってきてくれた翔君を気遣うのが正解かと思っていたけど……。
『なるほど、そういうのもアリなのか』と、ゲームの中の『雫』に感銘を受けながら、次の翔君のセリフを待つ。
彼はニコッと笑顔になり、『ごめんね』と繰り返した。
『でも、そんなに楽しみにしてくれたなんて、嬉しいな。お詫びに、雫の好きなケーキご馳走するから。なにがいい?』
リアルの私の好みとは違う『ストロベリータルト!』というセリフを読んだ時、私はもうほとんど前を気にする余裕もなくなっていた。
そして、大学図書館のエントランスに足を踏み入れた、その時。
「おい。公道じゃないからって、いい大人が歩きスマホするなよ。学生が真似するだろ」
いきなりそんな声が頭上から降ってきて、同時に手からスッとスマホを抜き取られた。
ゲームに熱中するあまり、前から来た人にぶつかる寸前まで接近していたことも、私はまったく気付けず。
「ひゃっ……」
スマホを掠め取られて初めてギョッとして、慌ててピタリと足を止めた。