イジワル外科医の熱愛ロマンス
そして。


「……恋愛ゲーム、ってとこか。これ」


気付いてしまった。
細めた目で、呆れたように私を見下ろしてくる。


「っ、ちがっ……返してってば!!」


暑くもないのに、頭皮にまで汗を掻きそうなくらい、私の全身は火照っていた。


「ああ、ちょっと待て」


なのに、祐はスマホを持つ手を更に真っすぐ上げて、もう片方の手で私の額を押し退ける。
もともと背が高い祐に、腕のリーチの分まで遠ざけられ、私がどんなに手を伸ばしてもスマホには届かない。


「『今日の雫は可愛いね』『なんかドキドキしちゃうな』。歯が浮きそうなことばっか言う優男。……お前、こんなのやってたのか」


喉を仰け反らして顔を上げ、祐は私のスマホを勝手に操作する。
その唇で翔君のセリフを読み上げ、意地悪に口角を上げた。


「『恋も結婚も無理なんです』って言ってたっけ? その割に、ゲームにはまってるとは。ずいぶんと痛い趣味だな、雫」

「っ……」


小バカにするようにニヤリと笑って見下ろされ、私の胸がドキドキと嫌な速度で加速し始めた。


「しかもなに? 『雫』ってお前のこと? リアルじゃできないから、二次元ヒロインになりきってるってことか?」
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