イジワル外科医の熱愛ロマンス
――ああ……。
まさかまさかまさか。
ゲームの恋にハマる私を、一番知られたくない男に知られてしまうなんて。


私は力なく手を下げて、がっくりとこうべを垂れ……ようとしたのに、祐に額を押さえつけられたままで、顔を下に向けることもできない。


「へえ」


そのまま、ニヤニヤしながら覗き込まれる。
視線を横に流すくらいしか、私に逃げようはなかった。


「わ、悪いですか。ただの趣味です。別にいいじゃないですか」


悔し紛れに、できるだけ淡々とした声で言い返す。
祐はそれに、『ふん』と鼻を鳴らして応えた。


「リアルでは無理でも、そういうドキドキくらいはしてみたいってだけです。いいじゃないですか、私がなににハマってても、なにに夢中になってても、ゆた……宝生先生にはなんの迷惑にもならないんですしっ……」


開き直り、半分ヤケになって、更にそんな言い訳を続けた。
けれど。


「迷惑にはならないけど……この趣味、いつからだ?」

「え?」


私のスマホを口元に持っていき、彼はとても微妙そうな声で聞き返してくる。


「正直なところ、俺は屈辱に屈辱を上書きされた気分なんだけど」

「え?」

「リアルの俺は最初から門前払いしておいて、二次元の優男に夢中とか……。どんだけ俺をバカにしてるんだ、お前は」
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