イジワル外科医の熱愛ロマンス
祐はどこか忌々しげにそう言って、私から顔を背け、はあっと大きな息を吐いた。
そこから、チラッと上目遣いの視線を向けられ、私の胸がドキンと跳ね上がる。


「べ、別に、バカにしてるわけでは……」


無意識に胸元で服を握りしめながら、私はしどろもどろになって言い返す。
それを祐が「いや」と遮った。


「してるね。だってさ。バーチャルの男から与えられるドキドキで、満足されちゃあ……。生身の俺には、期待してなかったってことだろ」


ムッと口をへの字に曲げる祐に、私は慌てて勢いよく首を横に振る。


「だから、期待とかじゃなく、本当に無理なだけで……!」

「そう言えばお前、俺のせいだって言ったっけ。つまり、俺じゃ不満で、リアルから逃避した結果の二次元ってことか? ……うわ、ますます許せねえ……」


私の言葉などまったく無視して、祐は一層不機嫌に、表情を険しくしていく。


「だ、だから、違うんですってば……」


もごもごと口ごもりながら告げた声は、彼には届かない。


「おかげで、いい方法思いついた。俺がお前から受けた屈辱を晴らす方法」


ハッと浅く短い息を吐きながら、祐がそう言った。
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