イジワル外科医の熱愛ロマンス
「え……？」


祐の言葉に、そこはかとなく不気味な響きを感じながら、私は怯んだ目を向けた。
彼は私の視線を意識してか、「ふん」と鼻を鳴らしてニヤリと口角を上げる。


「怖がるな。別に雫にとっても、悪い話じゃない。リアルで無理でも二次元はOKってことは……恋愛に興味はあるってことだろ？」


祐がチラッと私に流し目を向ける。
意地悪な、よからぬことを考えていそうなその瞳に、嫌な予感が煽られて、私の背筋がゾクッと震えた。


「ち、違います。興味……ではなく、ただドキドキしたいだけで」


私が必死にそう捲し立てると、祐はハッと浅い息を吐いた。


「なにされてるか妄想して、ドキドキするんだろうが。……まったく。痛いとしか言いようがないな」


そう言って、チッと舌打ちしながら私のスマホをなにやら操作した。
そして、「ん」と言いながら、やっと返してくれる。


「あ、ありがとうござ……って、あああ！？」


スマホを手渡されてホッとした次の瞬間、私は両手でそれを目の高さに掲げてひっくり返った声をあげた。


「な、なにをするんですかっ……！！」


思わず悲鳴のような声をあげてしまったのは、私のスマホからゲームのアプリが削除されていたからだ。
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