イジワル外科医の熱愛ロマンス
その後――。
大学図書館のエントランスで完全に腰を抜かしてしまった私は、たまたま通りかかったどこかの医局のドクターに助け起こしてもらい、ようやく立ち上がることができた。
情けないことに膝をガクガク震わせる私を、ドクターは親切にも図書館内のロビーまで連れてきてくれた。
私はソファに身体を沈め、少し落ち着いてから移動した。
手すりや壁に身を預けるようにしながら、なんとか医学書のある三階まで階段を上った。
書架に潜り込んだはいいけど、思考回路の回復が身体に追いつかない。
ぼんやりと目に映るメモの文字を頼りに、ボーッとしながら本を探した。
メモに書かれていたのは五冊分のタイトル。
書棚から引っこ抜いた本を五冊、やっとの思いで医局に運び込んだものの――。
「あれ。本郷さん。僕が頼んだのはこの本じゃないよ」
私から本を受け取った木山先生が、きょとんとした顔でそう言った。
「えっ。ええっ……」
首を傾げる彼の手元の本と、いつの間にか握り締めていてクシャクシャのメモの文字を見比べる。
何度も視線を往復させて、私もようやく間違いに気付いた。
「す、すみません! 申し訳ありませんでした……!」
額に変な汗を滲ませながら、私は慌てて木山先生の手から引ったくるようにして本を受け取った。
大学図書館のエントランスで完全に腰を抜かしてしまった私は、たまたま通りかかったどこかの医局のドクターに助け起こしてもらい、ようやく立ち上がることができた。
情けないことに膝をガクガク震わせる私を、ドクターは親切にも図書館内のロビーまで連れてきてくれた。
私はソファに身体を沈め、少し落ち着いてから移動した。
手すりや壁に身を預けるようにしながら、なんとか医学書のある三階まで階段を上った。
書架に潜り込んだはいいけど、思考回路の回復が身体に追いつかない。
ぼんやりと目に映るメモの文字を頼りに、ボーッとしながら本を探した。
メモに書かれていたのは五冊分のタイトル。
書棚から引っこ抜いた本を五冊、やっとの思いで医局に運び込んだものの――。
「あれ。本郷さん。僕が頼んだのはこの本じゃないよ」
私から本を受け取った木山先生が、きょとんとした顔でそう言った。
「えっ。ええっ……」
首を傾げる彼の手元の本と、いつの間にか握り締めていてクシャクシャのメモの文字を見比べる。
何度も視線を往復させて、私もようやく間違いに気付いた。
「す、すみません! 申し訳ありませんでした……!」
額に変な汗を滲ませながら、私は慌てて木山先生の手から引ったくるようにして本を受け取った。